史上最強のG2となった毎日王冠1998|サイレンススズカV.S.グラスワンダーV.Sエルコンドルパサー
世代によるかもしれないが、毎日王冠と言えば1998年のサイレンススズカが一番に思い浮かぶ世代も多いのではないだろうか?
今回はサイレンススズカの伝説を語る上で欠かすことができない、あの98年の毎日王冠について書きたいと思う。
G2に13万人という前代未聞の観客動員数
「第49回毎日王冠(G2)」の毎日王冠。この年の毎日王冠は例年以上に盛り上がりを見せ、なんと東京競馬場には13万人という異様な観客が集まった。近年の有馬記念クラスの動員数である…。
G1でもないのに一体なぜこれほどまで観客が集まったのだろうか?それもそのはず、この年最大級に注目を集めていた3頭の有力馬、【グラスワンダー】、【エルコンドルパサー】、【サイレンススズカ】が一挙に揃い直接対決となったのだ。
グラスワンダーはここまで無敗の4連勝で京成杯と朝日杯の3歳重賞を2連勝。しかし骨折で長期休養を余儀なくされており、この毎日王冠は約10ヶ月ぶりの復帰戦だった。
エルコンドルパサーもここまで無敗の5連勝でニュージランドTとNHKマイルCの4歳重賞を連勝。グラスワンダーが怪我で不在の中、「世代最強はオレだ」と言わんばかりの活躍ぶりを見せていた。
しかし、これほどまでに強い2頭をおさえて当日1番人気に推されたのはサイレンススズカだった。
圧倒的なパフォーマンスの違いがその背景にあった。その年の年初から圧倒的な逃げ切り勝ちで宝塚記念を含め5連勝を飾っており、もはや「この馬に追いつける馬はいない」との評判を下されていた。
13万人が見守る中、ゲート入り完了。そして大方の予想通り、サイレンススズカが逃げてレースは始まった…。
毎日王冠(1998)の枠順
枠 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 重量 | 騎手 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | プレストシンボリ | セ7 | 57.0 | 岡部幸雄 |
2 | 2 | サイレンススズカ | 牡5 | 59.0 | 武豊 |
3 | 3 | テイエムオオアラシ | 牡6 | 57.0 | 福永祐一 |
4 | 4 | エルコンドルパサー | 牡4 | 57.0 | 蛯名正義 |
5 | 5 | ランニングゲイル | 牡5 | 58.0 | 柴田善臣 |
6 | 6 | グラスワンダー | 牡4 | 55.0 | 的場均 |
7 | 7 | サンライズフラッグ | 牡5 | 58.0 | 安田康彦 |
8 | 8 | ワイルドバッハ | 牡6 | 57.0 | M.ロバーツ |
8 | 9 | ビッグサンデー | 牡5 | 58.0 | 宝来城多郎 |
4コーナーで5番手→4番手と順位を上げてきたグラスワンダーが並びかけ、直線では4番手にいたエルコンドルパサーが外から追いすがる。
直線に差し掛かってからの歓声はもはやG2レースの歓声ではない。
13万人の大歓声が響く中、サイレンススズカは2頭の猛追を寄せ付けず2着馬のエルコンドルパサーに2馬身半差という着差を付けて快勝した。
スタミナの化け物とまで言われたエルコンドルパサーですらバテてヨレるほどのオーバーペースであったのにも関わらず、2馬身半差という着差をつけたのだ。
ハイレベルなレースとなったこの年の毎日王冠は多く競馬ファンの記憶に残る名レースとなった。武豊騎手がゴール後に、G2では異例となるウィニングランを行ったことでも有名である。
決して負けた2頭が弱かったわけではないことは今誰もが知る所。グラスワンダーはこの年の有馬記念を優勝し、翌年は宝塚記念、有馬記念連覇とグランプリ3連覇を飾っており、エルコンドルパサーはこの後のジャパンカップを制し、翌年は海外の凱旋門賞で2着に入着するなどの活躍を見せている。
この後の天皇賞秋へと続く毎日王冠は、サイレンススズカの伝説を語る上で外せないレースであろう。
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